「あ、フェイトちゃん。ちょお時間空いとる？」
「この後、用事はないけど。何かあった」
「最近運動不足みたいでな。軽く身体でもうごかそう思うてな」
「はやて、書類仕事が多いからね」
「そうなんよ……端末にあるデータの量みてみ。次から次にやっても全然減らん。
　わんこそばかい！そんなんいらんわ！」
「は、はやて？」
「ん？」
「けっこうたまってるみたいだね」
「あ……かんにんな」
「いいよ。私にはこれくらいしかできないから」
「ほんま助かるわ」
「じゃ、ちょっとでようか」
「せやな」

　　　◇　　　◇　　　◇

「いや〜体動かすんは気持ちええな」
大きく伸びをしながらストレッチをしていると。
「お疲れさま」
言葉とともにタオルを差し出された。
「ありがとうな」
「収束系や狙いはやっぱり一人だとむずかしいのかな」
ひときわ大きく開いた穴を眺めつつ苦笑する。
「やっぱリィンおらんとつらいんかな……」
「たまには、ならしておかないとだね」
「せやな……くしゅっ」
「はやて？」
「ん……ほこりでもあったんかな？」
「大丈夫？」
「へーき……くしゅっ」
「汗が冷えたんじゃない？早く着替えた方がいいよ」
「いや〜だれかうわさでもしとるんや……くしゅっ」
「はやての格好結構寒いんだから……ほら」
「え？」
ふわりとかけられたのは、見覚えのある白のマント。
そこに残る温もりに鼓動がはねる。
「ふぇ、フェイトちゃん！？」
「風邪引いたら大変だから」
「で、でも。これやとフェイトちゃんが寒いやろ」
「私は大丈夫だよ」
「あかんて。風邪引いたらどないするん」
「でも」
「でも、やない！」
いつもそう。
自分のことは後回しにする貴女にマントを突きかえす。
「ん……要は私も寒くならなければいいんだよね？」
「え？まぁ……そうやけど……」
「それなら……」
突き出したマントを羽織ると、後ろに周り……
「なっ！」
腰に腕を回され、抱きしめられる。
両手でマントの端を掴んでいるので、すっぽりと覆われている感じになっている。
「な、なにしとるん！」
突然の行動に抗議をするも。
「え？これなら二人ともあったかいよ？」
耳元で囁かれた言葉にどうにもできなくなる。
「あ……もう……」
「はやて？」
「ほんまに……」
この人には叶わない。
そんなことを考えながら、温もりに包まれていた。


END

フィグマのはやてさん発売記念。
執務官のマントは色々とおいしいと思いませんか？（こらまて