某方が雪の話をしていたので、かりかり。

お題「ほのぼの」「雪」「獣族(指定無し)」

せっかくですのでその方の設定をお借りしました。
芹先生ありがとうございます!



 駅から少し外れた閑静な住宅街。
 住宅街にある小さな家。
 これはそこで暮らす犬の獣族と、その飼い主のお話。







 試験も終わり、晴れて自由の身となったなのはさん。
 これまで我慢していた分、たくさん構おうと獣族を探して歩きます。


雪がとけたら……



 リビング、キッチン、洗面所、お風呂……
 色々と探して回りますが、そこにはいませんでした。
 玄関に専用の靴があるので、外には出ていないはず。
 首をかしげるなのはさん。
 二階からカタンと言う音が聞こえます。
 行っていない場所が一つ。
 自分の部屋へと急ぎました。
 そっと扉を開けなのはさんが部屋を見回すと、窓のところにちょこんと座る影一つ。
 毛並みの良い黒のしっぽは、ぱたぱた揺れています。
「フェイトちゃん?」
 獣族の名前を呼ぶなのはさん。
「なのは!」
 入り口のなのはさんに気が付き、なのはさんの腕の中にダイブするフェイトちゃん。
 しっかりと抱き留めたなのはさんが頭を撫でると、しっぽがぶんぶん振られます。
 試験勉強であんまり構って貰えなかったからか、ぎゅっと抱きつくフェイトちゃん。
「くぅーん」
 試験期間中我慢をしていた分、その威力は絶大です。



 しばらくお待ち下さい




 久しぶりの感触を堪能した頃…… 
「さっきはどうしたの?」
「あ……ねぇ、あれなに?」
 フェイトちゃんが指しているものを確かめるために、窓の外を見ると……

「あ……」

 黒い雲から舞い落ちる白。

「ふわふわしててきれい」
 深紅が輝いています。
「雪っていうんだよ」
「ゆき……」
 初めて見る物に目を輝かせるフェイトちゃん。

 その姿は小さい頃の自分と重なるものがあって……

「フェイトちゃん、寒いの大丈夫?」
「? うん」
「じゃ、見に行こう」
「うん!」


 高町家の玄関。

「わ〜」
 玄関の扉を開くと、外の光景によろこぶフェイトちゃん。
「なのは!」
 飼い主をせかすフェイトちゃん。
 しっかりとコートを着込んでいます。
「ちょっと待ってね……ん、よし。フェイトちゃん」
 スニーカーをはきおえたなのはさんが、フェイトちゃんに手をのばします。
「うん!」
 今にも駆け出しそうになる獣族に苦笑しながら、外に出るなのはさん。

 空を舞う白に手をのばすフェイトちゃん。
「あれ?」
 掌に触れた雪は、あっという間に解けて水になってしまいました。
 黒い耳としっぽが下がります。
「これくらいの大きさだとすぐとけちゃうね、こっちおいで」
 その様子を見て、植木のある方にフェイトちゃんを呼ぶなのはさん。
「ここならさわれるよ」
 植木の上にうっすらと積もる白に、おそるおそる手をのばすフェイトちゃん。
「ひゃぅ」
 その冷たさに、思わず手を引っ込めてしまいます。
「これが雪だよ」
「ふわふわじゃないんだ」
「そうだね」



 フェイトちゃんと一緒に、空を見上げるなのはさん。
 なかに気付いて振り返ります。
 視線の先にいたのは、きゅっとなのはさんのコートを掴むフェイトちゃん。
「どうしたの?」
 なのはさんの声に、ぴくりと耳が動くフェイトちゃん。
 どうやら無意識だったようです。
「あ、あの……」
「ん?」
 かがんで視線を合わせるなのはさん。
 フェイトちゃんが言葉にするのを待ちます。 

「空見上げてたら……なんか……こわくなって……」

「そっか」

 その言葉は、昔思ったことと同じで……

 そっとフェイトちゃんを抱き上げるなのはさん。
「……くぅん」 
 擦り寄るフェイトちゃんの頭を撫でます。

「ねぇ、フェイトちゃん」
「ん?」
「雪がとけたら、なんになるか知ってる?」
「お水じゃないの?」
 先ほど見たことを答えるフェイトちゃん。
「それもある意味正解なんだけどね」
 苦笑しながら頭を撫でる。

「春になるんだよ」

「そうなんだ」
「うん」

 そろそろ、フェイトちゃんが高町家に来てから一年。
 その間にあったいろいろなこと……
 そんなことを想いながら……
 なのはさんとフェイトちゃんは空を見上げていました。

 どっとはらい






2010.04.17追記
 今度雪が降ったら公開しようとしていて、タイミング逃したと思っていたら、
まさかの遭遇を果たしたので公開。
このまま来年まで寝かせるつもりだったのですが……
これはこれですかね(苦笑



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