少しずつ覚醒する意識。

 とても落ち着く匂い。 
 すぐそばに誰かがいるように感じる。

 それは身体を包む物のせい。
 指先がかろうじてでるくらいの長さのシャツ。
 もちろん自分のものではない。
 おそらくこの部屋の主の私物。

 ぼんやりする頭を押さえて起き上がる。
 見回してみると、見覚えのある天井。
 ぐるりを見回すと、見つけたのは自分の制服。
 しっかりとハンガーに掛けられているあたり、どうやら自分から押しかけたようだ。
 苦笑していると、扉が開かれた。

 二つのカップを持ってたたずむのは、この部屋の主。
 少し驚いたようにしているのは、この時間に起きていることが珍しいからか。

 いつもとはちがい、おろされている金色がふわりと広がる。
 細まる瞳。
 その瞳に宿るのは、おだやかな光。

 どうしたのかと尋ねると、ただ微笑む貴女。
 目はそらさず、相手の視線の先に手をやると……その正体に気がつく。
 それは起きてから感じた違和感。
 指先に触れたのは、少し冷たい硬いもの。
 不思議に思い、指を滑らす。
 おそらく、材質は金属。
 サイズはそれほど大きくなく、中央に穴が開いている。
 外側はつるりとしていたが、内側はそうではなかった。

 はっとなり見下ろすと、そこにあったのは昨日までなかった物。
 チェーンに通されたシンプルなリング。
 
 その内側に刻まれていた言葉に、何も言えなくなる。

 顔を上げるとそこには、楽しそうな顔をしている貴女。
 
 あぁ、ほんとうに……
 この人にはかなわない。



        Fin 








相手は誰か?
それはご想像にお任せします(をい

はやてさん 誕生日おめでとうございます・

2011.06.04


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